「アンパンマン」のやなせたかしさんと妻・小松暢さんがモデル
「あんぱん」は、日本を代表する人気アニメ「アンパンマン」の生みの親であるやなせたかしさんと妻・小松暢さんをモデルにした物語です。戦前から戦後にかけての激動の時代を背景に、二人の出会いから結婼まで、そしてアンパンマン誕生への道のりを描きます。
物語は昭和初期の高知県から始まります。主人公の朝田のぶは、「ハチキンおのぶ」と呼ばれるほど活発で勇敢な少女です。彼女は町中を駆け回り、周囲の人々を驚かせながらも、その明るさと元気さで愛されていました。
一方、柳井嵩は幼くして父親を病気で亡くし、叔父の家に引き取られた少年です。内向的で繊細な性格の嵩は、周囲の環境になじめずにいました。そんな二人の運命を変えたのが、一個のあんぱんでした。偶然の出会いで二人は親しくなり、お互いの個性を認め合う仲になっていきます。
しかし、彼らの平穏な日々は長くは続きませんでした。戦争の足音が次第に大きくなる中、女学校に通うのぶは周囲の影響を受け、軍国主義的な考えに傾倒していきます。やがて戦争が勃発し、嵩は出征することになります。
戦争は二人から多くのものを奪いました。嵩は最愛の弟・千尋を戦場で失い、のぶもまた大切な人を亡くしました。この経験は二人の価値観を大きく変えることになります。
戦後、女学校を卒業したのぶは「何が正しいかは自分で見極めなければならない」という強い信念を持ち、地元の新聞社に女性初の記者として就職します。一方、嵩は戦後の混乱期にくず拾いの仕事をしていましたが、やがて同じ新聞社に入社。二人は再会を果たし、同じ雑誌の担当として働くことになります。
嵩の中には常に漫画家になりたいという夢がありましたが、生活の不安から踏み出せずにいました。そんな嵩を見かねたのぶは、自ら先に東京へ行くことを決意します。「あなたも後から来なさいよ。先に東京に行って待ってるわ」と告げ、のぶは新聞社を辞めて上京します。
のぶの言葉に背中を押された嵩は、彼女を追いかけて東京へ。二人は六畳一間のボロアパートで同居を始めます。お風呂はなく、トイレは共同。雨漏りがひどく、雨の日にはトイレで傘をさす必要がありました。しかし、晴れた夜には天井の穴から星空が見えるという、粗末ながらも詩的な暮らしでした。
二人はこの貧しい生活を楽しみ、互いの存在を心の支えにしていきます。のぶは「どんな環境でも楽しめるこの人と一緒にいたい」と思い、嵩もまた、のぶの前向きな姿勢に魅かれていきます。やがて二人は結婚し、困難を乗り越えながらも夢に向かって歩み続けます。
この時点では、後に国民的キャラクターとなる「アンパンマン」の誕生はまだ遠い未来のことでした。「手のひらを太陽に」や「アンパンマン」が世に出るまでには、さらなる試練と成長の日々が待っていました。
物語は、夢を追いかける二人の姿を通じて、戦後日本の復興期における希望と苦難、そして芸術家としての成長と愛の深まりを描いていきます。やなせたかしさんとその妻をモデルにしながらも、普遍的な「愛と勇気の物語」として、視聴者の心に響く作品となることが期待されています。
2025年度前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』の出演者は以下の通りです
- 今田美桜:ヒロイン・朝田のぶ役
- 加瀬亮:父・朝田結太郎役
- 江口のりこ:母・朝田羽多子役
- 河合優実:妹(次女)・朝田蘭子役
- 原菜乃華:妹(三女)・朝田メイコ役
- 吉田鋼太郎:祖父・朝田釜次役
- 浅田美代子:祖母・朝田くら役
- 細田佳央太:釜次の弟子・原豪役
この豪華キャストで、アンパンマンの生みの親であるやなせたかしと妻・小松暢をモデルにした物語が描かれます。ヒロイン・朝田のぶを中心に、朝田家の人々の物語が展開されていくことになります。